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はじめに
なぜこの2つは混同されるのか
「回避型に向いていそうな接し方をしたのに、なんだかしっくりこない」「回避型だと思っていたけれど、実は違うタイプだったのかもしれない」——ご相談を受けていると、こうした戸惑いに出会うことがよくあります。
多くの場合、その理由は「回避型(Dismissive-Avoidant)」と「恐れ・回避型(Fearful-Avoidant)」という、名前も似ていて行動も似て見える2つのスタイルが混同されていることにあります。どちらも人と距離を置く「回避」の傾向が強いという共通点を持ちながら、そこに伴う「不安」の強さが大きく異なります。
成人の愛着スタイルを4つに整理するモデルがありますが(その背景についてはこちらのコラムで詳しく解説しています)、その中でもこの2つは特に見分けがつきにくく、だからこそ対応を間違えやすいペアでもあります。このコラムでは、その違いを丁寧に整理していきます。
共通点
なぜどちらも「回避」に見えるのか
まず、なぜこの2つが混同されやすいのかを見てみましょう。行動として現れる部分には、確かに共通点があります。
- 距離を置く、踏み込みすぎないようにする
- 感情表現を控えめにする、本音を見せにくい
- 一人の時間を必要とする
- 「重い」関係や、依存されることを避けようとする
ここだけを見ていると、確かによく似ています。外側から観察しているだけでは区別がつきにくいのも当然です。ですが、この「回避的に見える行動」の裏側にある動機や感情には、大きな違いがあります。ここが本質的な分かれ道になります。
回避型
(Dismissive-Avoidant)とは
距離を保つ心の動き——近づかれるほど、離れたくなってしまう
回避型は、自分自身に対する評価は比較的高く(「自分は一人でも大丈夫」)、他者に対する期待は低め(「人に頼っても仕方がない」)という組み合わせを持っています。
そのため、人と距離があること自体が、恐怖から逃げた結果ではなく、本人にとってはむしろ心地よい状態であることが多いのが特徴です。誰かに深く踏み込まれると、居心地の悪さを感じて自然に距離を取ろうとしますが、それは相手を嫌っているからではなく、「そのままの自分でいたい」という感覚に近いものです。
感情を表に出すことは比較的少なく、周囲からは落ち着いて見えることがあります。ただし、感情そのものが小さいとは限らず、つらさや愛着への欲求を、意識の外に遠ざけている場合もあります。一人の時間を必要とし、それを苦痛に感じることはあまりありません。
恐れ・回避型
(Fearful-Avoidant)とは
近づきたいのに避けてしまう——愛されたいのに、近づくほど怖くなる
恐れ・回避型は、自分自身に対しても、他者に対しても、否定的な見方を持ちやすいという組み合わせを持っています。「自分は愛される価値がないのではないか」という不安と、「人を信じても、結局傷つくのではないか」という恐れを、同時に抱えやすいとされています。
そのため、「そばにいたい」という気持ちと「傷つくのが怖い」という気持ちが、せめぎ合いやすいのが特徴です。近づきたいのに、近づいた瞬間に怖くなって離れてしまう。離れると今度は寂しくなって、また近づきたくなる——この「近づく・離れる」の繰り返しは、本人にとっても苦しいものです。
感情は揺れ動きやすく、一人の時間の中にも、安らぎと同時に寂しさや不安が入り混じっていることがよくあります。
大きな違い
距離を取るときの心の動き
ここまでの内容を、項目ごとに並べて整理してみましょう。
つまり、回避型の「距離を置きたい」はそのままでいたいという心の状態であるのに対し、恐れ・回避型の「距離を置いてしまう」は近づきたい気持ちを恐れが上回った結果である、という違いがあります。
見落とされがちな共通点
関係の終わり方が曖昧になることがある
ここまで違いを見てきましたが、実際の相談現場で感じることがあります。回避傾向が強い人の中には、別れについて正面から話し合う代わりに、連絡や関わりを少しずつ減らしていく人がいる、ということです。
表面的には、距離を置いたり、冷たい態度を取ったり、愛情を感じさせない振る舞いをしたりして、まるで自分から関係を手放しているように見えます。でも、それは「終わらせている」のとは少し違います。関わりが薄くなっていく中で、最終的にピリオドを打つ判断を、そばにいた側——つまりパートナーが下すことになる、というケースを見てきました。
私の相談現場では、結果としてパートナーの方が関係の継続を判断しているケースが少なくありません。回避型は「自分は一人でも大丈夫」という感覚があるために、関係を積極的に終わらせる必要を感じにくいことがあり、恐れ・回避型は「離れたい」気持ちと「離れたくない」気持ちがせめぎ合うために、自分から決定的な行動を取ることが難しいことがあります。
ただし、これはすべての回避型・恐れ・回避型の人に当てはまる特徴ではありません。自分から明確に別れを告げる人もいれば、突然関係を断つ人もいます。愛着スタイルだけから、誰が関係を終わらせるかを判断することはできません。
それでも、「あんなに冷たい態度だったのに、どうして自分から別れを切り出さなかったんだろう」と感じている方には、知っておいてほしい視点です。その背景には、あなたへの気持ちだけでは説明できない、相手自身の親密さへの向き合い方が関係していたのかもしれません。
見分けるヒント
関係の中に現れるサイン
実際の関係の中では、次のようなところに違いが表れやすくなります。
- 連絡が途絶えた時:回避型は動揺を表に出しにくく、そのまま距離を保つことがある一方、恐れ・回避型は不安と安堵が入り混じることがある
- 関係が深まった直後:回避型は感情から距離を置くように淡々と接することがある一方、恐れ・回避型は急に態度が変わることがある
- 過去の恋愛を振り返る時:回避型は淡々と語ることがある一方、恐れ・回避型は語り方に傷つきや矛盾した感情がにじむことがある
- 一人の時間について尋ねると:回避型は一人でいることを快適だと捉えやすく、恐れ・回避型は「快適だけど、少し寂しい」のように両方の感情が出てくることがある
もちろん、これらは目安であり、実際の見極めには丁寧な対話が必要です。表面的な行動だけで決めつけず、その奥にある気持ちに目を向けることが大切です。これらは診断基準ではなく、一つの傾向です。相手の行動だけから、愛着スタイルを断定することはできません。
この違いを知ることが大切な理由
「回避型と恐れ・回避型の違い」を理解することは、単なる分類上の整理ではありません。
この2つでは、同じ「距離を取る」という行動でも背景が異なるため、必要とされる配慮や関わり方の重点が変わることがあるからです。
・回避型に対して距離を尊重しながら安心を積み重ねる関わり方を、恐れ・回避型にそのまま使うと、「近づきたい気持ちを受け止めてもらえなかった」と感じることがあります
・逆に、恐れや不安を丁寧に受け止める関わりを、回避傾向の強い相手に過度に続けると、踏み込まれていると受け取られ、かえって距離を置かれてしまうことがあります
わたしが20年の相談経験から感じることは——「回避型っぽいから」という表面的な判断だけで接し方を決めてしまうと、かえって関係がこじれてしまうことが少なくない、ということです。まずは、目の前の相手にどのような心の動きが見られるのか、あるいは自分自身がどのような不安や回避の傾向を持っているのかを、丁寧に整理することが最初の一歩になります。
その違いが見えてくると、「どうして分かってもらえないんだろう」という問いが、「そういう理由だったのか」という理解へ、自然に変わっていきます。
ただし、どのような接し方であっても、相手の反応を完全にコントロールすることはできません。相手を理解しようとすることと、傷つく関係を我慢して続けることは、別の問題です。
このコラムを読んでくださったあなたへ
- 「回避型だと思っていたのに、うまくいかない」と感じたら、タイプの見極めから見直してみましょう
- あなたが感じている違和感には、ちゃんと理由があります
- 一人で判断が難しい時は、一緒に整理していきましょう
4つの愛着スタイルについて詳しく知る
「回避」は、ひとつじゃない。
違いが見えると、
関わり方も変わる。
「回避型だと思っていたのに、なんだか違う気がする」——そう感じたなら、一度、一緒に整理してみませんか。20年・約7万件の恋愛相談の現場で見てきた視点から、あなたやパートナーの状態を丁寧にひもときます。
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Megimi/めぎみ